(http://www8.nationalacademies.org/onpinews/newsitem.aspx
RecordID=12036より)

全米アカデミーのプレスリリース

無線通信装置の潜在的な健康影響の知識を増やす調査研究を認める報告書

 ワシントン ― 近年の無線通信装置の急速な使用増加に伴い、これらの装置から発生する無線周波数(RF)エネルギーへの
高い被曝による潜在的な健康影響の大量の研究が行なわれてきた。米国食品医薬品局(FDA)によって要請された
米国研究協議会の新しい報告書は、これらの機器から発生する弱い電磁波に長期間被曝した場合の知識をさらに広げる研究
の必要性を認めた。

 報告書を書いた委員会は、国際的な専門家の発表と、昨年8月に開かれた3日間のワークショップの出席者の議論に基づいて、
相違点と研究の必要性を確認した。そのワークショップは、RFエネルギーの測定と被曝、人間に関する研究、人間の実験の測定、
動物や細胞の生物学のような研究分野と議題を評価した。この報告書で、近い将来、人体についてRFエネルギーの潜在的な
有害影響の知見を増やす研究として、調査の必要性が確認された。相違点は、優先順位が低いか、または現在の調査研究が
評価されるまで行なわれるべきではないと認められた。

 委員会が認めた必要な調査の一つは、RF場への短期間の被曝で健康な成人におきる急性影響を評価した現在のデータの
大半に対立する、複合的な発生源からの長期間で弱いRFへ被曝した際の潜在的な健康影響についての研究だ。
例えば、無線機器やRF基地局アンテナからの電磁波によって、年少者、子ども、妊婦、胎児が受けるRFエネルギーの総量を
測定することは、さまざまな人々の被曝範囲を特定するのに役立つだろう。子どもたちがRF被曝の影響を受けやすいかどうかは
わかっていないが、子どもたちは組織や器官が発達中なのでリスクが高くなっているだろう。さらに、子供のエネルギー吸収比
(SAR)は、大人よりも高いようだ。被曝する電磁波の波長は、背の低い人にとって、全身の共振周波数に近いからだ。また、
現在の子どもたちは、大人よりも携帯電話から発生するRF場への被曝期間が長い。なぜなら、彼らは小さい時から携帯電話を
使い始めるようだ。この報告書は、子どもたちの携帯電話所有の急増加をいくつかの調査が示す点を強調している。しかし、
子どもたちの健康影響を調べる実際の適切な研究は、今のところ行なわれていない。

 ハンドヘルド式(訳注:手で握って使う)無線通信機器のアンテナの進化したタイプも、体の異なった部分へ導くRFエネルギーの
総量について分析されるべきで、そのデータは将来の分析に役立つだろう、と委員会は述べた。携帯電話から発生する
RFエネルギー被曝の人間の頭部での影響を知るための研究は、既に行なわれている。しかし、これらの研究のほとんどは、
携帯電話には引っ張って伸ばす細長い棒状のアンテナがあり、携帯電話を使用者の耳に当てて持つ、と推定されていた。
数多くの新しい電話は埋め込み式のアンテナを使い、その付加的なSARデータが必要だ、と報告書は述べている。また、
無線技術は、ノート型パソコンやハンドヘルド式メール機器やネット・サーフィン機器にも組み込まれ、そのアンテナは体の
他の部分に接近している。

 委員会によって認められたその他の必要な研究は下記の通り。

・ 職業被曝が中間〜高かった過去のグループと、一般的な成人の将来の被曝研究を完成させる
・ 神経ネットワークと脳の電気活性に関するRF電磁場の潜在的な影響に焦点を充てた人間の実験研究を完成させる
・ 小児がんや脳腫瘍を含む、子供や妊婦の研究を完成させる
・ きわめて微量なレベルでのRF線量の影響を評価する
・ 典型的な複合的要素の基地局アンテナから照射される電磁場と影響を受ける人々の被曝の特徴をまとめる

この研究は、米国食品医薬品局によって支援された。米国科学アカデミー、
米国技術アカデミー、医学協会、米国研究協議会が米国アカデミーを構成している。
これらは議会の許可の下で科学、技術、衛生政策アドバイスを提供する民間の
非営利組織だ。研究協議会は、米国技術アカデミーと米国アカデミーの主要な
活動機関である。 委員の名簿は下記に記す。


『無線通信機器の潜在的な生物学的影響、または健康に有害な影響に関わる調査の必要性の確認』のコピーは、
米国アカデミー・プレスから、またはインターネットhttp://www.nap.eduで入手できる。

(このニュースリリースと報告書は、http://national-academies.orgで入手できる)

米国研究協議会 核と放射線研究委員会、地球生命研究部

『無線通信機器の潜在的な生物学的影響、または健康に有害な影響に関わる調査の必要性の確認』

フランク・S・バーンズ*(委員長)
ボールダー、コロラド大学電気・コンピューター技術学部、名誉教授

オム・P・ガンジー
ソルトレイク市、ユタ大学電気技術学部、教授

マリア・ハイエタンネン
ヘルシンキ、職業衛生フィンランド研究所、非電離放射線部、主席研究員

リーカイ・ケイフェッツ
ロサンジェルス、カリフォルニア大学、公衆衛生校、疫学教授

ルディガー・マッヘス
非電離放射線防護委員会、科学事務官
ドイツ、オーバーシュレイスヘイム、放射線防護連邦局、非電離放射線(線量測定)長官

デビッド・L・マコーミック
科学技術調査組織イリノイ研究所、上級副総裁兼理事
シカゴ、科学技術イリノイ研究所、生物学教授

ベルナルド・ヴェィレ
フランス、ボルドー大学、化学物理カレッジ、科学研究国立センター、主席科学者

研究協議会スタッフ
ナオコ・イシベ
研究ディレクター

*米国技術アカデミー、メンバー



(訳:加藤やすこ)